日本の英語教育ではアメリカ英語が今もなお主流となっていますが、世界では異なります。例えば、各国代表が集う世界会議などでは、語彙スペリング共にイギリス英語を用います。ヨーロッパでの英語教育も、基本的にはイギリス英語を中心に行います。また、英語を公用語としている国のほとんどはイギリス式の英語を使用し、アメリカ式の英語を使用している国はフィリピンやリベリア共和国など、少数の国々のみです。(※カナダはイギリスとアメリカ式の混合)今回は、イギリス英語(ブリティッシュイングリッシュ)の特徴をもう少し掘り下げていきます。
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イングリッシュ訛り
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- アメリカ英語に比べ、イギリス英語は地方方言による差が大きくなっています。アメリカより人口・面積共に遥かに小さいものの、多くの地方独自の英語が見られ、イギリス出身者同士でも、出身の地域によって理解が難しいという場合もあります。代表的なものではヨークシャー英語、リバプール英語、マンチェスター英語、グラスゴー英語など、発音から単語まで多くのものが異なります。また、あまり知られていませんがロンドンにも独自の訛りがあります。地域ごとに特色はありますが、一般的にはオックスフォードやケンブリッジ、またはイングランド南西部地域は訛りが弱いと言われています。
階級・人種により異なるイギリス英語
イギリスには階級があり、階級ごとにも違った英語の特徴があります。イギリスというとクイーンズ・イングリッシュを連想する人も多いですが、これは基本的に上流階級の人々に使われている英語のことを指します。また、イギリス人にも白人系、黒人系、インド系など様々おり、それぞれ発音を中心に使用する英語が少しずつ異なります。
RP(容認発音)
以上のように、イギリスには多くの種類の英語が存在しますが、一般的に標準英語として扱われるものがRP(Received Pronunciation)と呼ばれる英語です。BBCなどで流れる英語もRPであり、王族の発音としても知られています。イギリス国内でのRP使用者はさほど多くはないものの、国際的に認められているイギリス英語はRPであり、イギリス人も国外で英語を使用する際はRPに近い英語を使用とする人が多くいます。RPを話せると、上品なイメージを相手に与えることができます。
習得方法
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- イギリス英語を習得することは難しい、とよく日本では言われがちですが、そんなことはありません。日本の英語教育はアメリカ英語が主体であり、イギリス英語を学ぶ機会がないために難しいと思われがちですが、実際はアメリカ英語より簡単かもしれません。尚且つ、とても上品な英語を身につけることができるので、イギリス英語を学ぶ価値は十分にあります。
以下、簡単にですがイギリス英語を学ぶ際の注意事項をまとめました。
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学ぶコツ |
リスニング |
一般的にはBBCなどRP(容認発音)を中心に取り組む方が多いですが、イギリス英語をリスニングするために必要なものは柔軟性です。前述のように、イギリスでは階級や人種、地方によって英語が大きく異なります。ですので、BBCだけでなく、映画やその他テレビなど、いろいろな種類のイギリス英語に触れておく必要があります。発音の模範にするものは1つでいいですが、リスニングは可能な限り沢山の種類の英語を聞きましょう。 |
発音 |
まずはイギリス英語の中でもどの英語を模範にするか決めましょう。一般的にはクイーンズ・イングリッシュのような容認発音、またはロンドン英語が比較的簡単に習得できます。細かい部分を含めると沢山練習しなくてはなりませんが、ここでは大きく2つのポイントを紹介します。1つは、rの発音時に舌を巻かないことです。アメリカ英語を教える日本の学校では、rの発音時に舌をしっかり巻くように教わったかもしれませんが、イギリスではその必要はありません。もう1つは、tの音をしっかり発音しましょう。アメリカ英語では、例えばWhatのtの音はほとんど発音されませんが、イギリスではしっかりと発音されます。両者とも、日本人にとってはさほど難しい発音ではないので、少し意識するだけでもだいぶ変わってくるのではないでしょうか。 |
スペル |
アメリカではCenterがイギリスではCentre、またColorがColourとなるように、スペルが違う単語もあります。アメリカ英語を習ってきた日本人としては難しい部分もありますが、1つ1つ覚えていくしかありません。対策としては、イギリス人が書いた本を読むことです。その本はもちろん全てイギリス英語で書かれており、アメリカ英語との違いを見つけたら印をつけるといいかもしれません。また、パソコンの言語設定をイギリス英語に設定することも有効です。そうすると、イギリス英語では間違ったスペルの単語を書いた際にはパソコンが教えてくれます。 |
アメリカ英語との違い
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- 発音やスペル、文法等多くの点で相違が見られます。特に顕著に見られるのが発音であり、イギリス英語とアメリカ英語では全く異なります。一般的に、イギリス英語のほうが上品で綺麗な英語であると世界的は認知されています。最も典型的な例として挙げられるものがrの発音であり、アメリカ英語では舌を巻きながら発音することが多いことに対し、イギリス英語ではそのような特徴はあまり見られません。日本語を話す際に巻き舌をしない日本人にとっては、イギリス英語のほうが習得は簡単かもしれません。
イギリス英語とアメリカ英語の違いを実際に表にまとめてみました。
単語の違い |
イギリス英語 |
アメリカ英語 |
休暇 |
holiday |
vacation |
サッカー |
football |
soccer |
お勘定 |
bill |
check |
紙幣 |
note |
bill |
トイレ |
toilet |
bathroom |
言い方の違い |
イギリス英語 |
アメリカ英語 |
ペンをなくした |
I have lost a pen. |
I lost a pen. |
ペン持ってる? |
Have you got a pen? |
Do you have a pen? |
時間ある? |
Have you got time? |
Do you have time? |
座ってください |
Have a seat |
Take a seat |
スペルの違い |
イギリス英語 |
アメリカ英語 |
色 |
colour |
color |
好み |
favourite |
favorite |
中心 |
centre |
center |
気が付く |
realise |
realize |
まとめ
イギリス語学留学へ憧れを抱かせるものの一つ、イギリス英語。もう少しその「正体」や「攻略法」が見えてきましたでしょうか?使える英語のレベルが上がってくるとさらに細かい言葉の違いや意味のニュアンスもわかるようになってもっと楽しくなります。語学留学生の皆様、ブリティッシュイングリッシュ上級者を目指して励んでください!