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留学で知ったイギリスと日本の大学生活の違いとは?【両者を体験した筆者が徹底比較!】
Column

イギリスの大学・大学院と言えば、世界的にも有名なオックスフォード大学やケンブリッジ大学等、誰もが一度は聞いた事のあるであろう名門校を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。文系大学の集まるオックスフォードや、ニュートン等有名学者を輩出した理系大学の聖地ケンブリッジなど、大規模なキャンパスタウンが存在することからも分かるように、イギリスでは古くから学生のための環境が整っていました。

実際に世界の大学偏差値ランキングの順位を見てみると、この2校の他にも上位にダラム大学、ロンドン大学、マンチェスター大学等イギリス難関大学が多数ランクインしており、イギリス国内からの進学だけでなく、海外からの留学もたいへん人気があります。

今回は、これからイギリスの大学に留学される方、もしくは現在興味がある方が知っておくべき、日本の大学生活との違いや心得をご紹介します。


Content

1.イギリスの大学の基本情報

質の高い授業受講へのハードルが低い

授業イメージ

まず、イギリスの大学の特徴として挙げられるのは、比較的学校ごとのばらつきがなく、どの大学でもハイレベルな授業が提供されている点です。

これは、日本に比べて少ない学校数(イギリス全土でも約100校ほど)、そしてそのほぼ全てが国公立であることが理由として挙げられます。4000校ほどの大学数を誇るアメリカでは、そのレベルも多岐にわたり、誰でも望めば入学可能であるものとされていますが、これに対しイギリスでは、それぞれの大学ごとに特化された分野が異なることが多いため、将来のためにより専門的な知識をつけたい、アメリカと比べ、どちらかというと限られた人向けの選択肢であると言えるでしょう。

出願方法に関しても日本とは異なり、基本的に入学試験が必要なく、高等学校をはじめとしたそれまでの成績や志望動機書、英語の試験結果(IELTS等)を基に合否が決められます。そのため、世界のどこにいるかにかかわらず、ハイレベルな教育を受けるための門が誰にでも大きく開かれています。

ちなみに学費に関しても、国公立の大学の場合は国が設立したHEFC( Higher Education Funding Council)が資金の提供を行っているため、学校間の差は少なく留学生は年間£17,000から£25,000程度が一般的です。


専門科目に特化したカリキュラム

医者イメージ

日本で大学進学する場合、4年制の大学が一般的ですが進学するコースにもよるものの、基本的にイギリスの大学は3年制となっており、これは日本との大きな違いの一つです。

そして、日本の大学では1年次に必修科目の履修が義務付けられていますが、イギリスの大学プログラムでは選んだ学部・学科に応じて、入学後すぐに専門科目の履修が始まり、コースによっては実務研修も含まれています。イギリスでの大学留学では集中して専門的な知識を習得できると言え、これから学びたいことが明確な方、既に将来就きたい職が絞られている方に、特におすすめと言えるでしょう。アートやデザイン、国際関係学、建築学、開発学などの英教育は、その質の高さから世界的にも評価されています。

ただし注意しなければならない点として、日本の高校を卒業後イギリスの大学に進みたい場合、日本の短大または大学1,2年、もしくはファウンデーションコース(大学進学準備コース)を取らなければならないため、実質卒業までにかかる期間は日本と同じ、もしくはそれ以上になります。


成績

成績イメージ

学内の試験や進級に関することとしては、日本とあまり変わりありません。基本的にどの教科も40%以下は不合格となります。この場合、課題の再提出や再試験が求められます。また、単位不足で落第した際は、日本と同じくもう一年やり直すことになります。


2.授業の特徴

高いリサーチ力が求められる

リサーチ

イギリスの大学の特徴として、課題の準備初期段階にあたるリサーチに重みが置かれています。これには、「プライマリーリサーチ(アンケート等)」、「セカンダリーリサーチ(本・ウェブサイト等)」両者が含まれ、課題によってはその方法が指定されることもあります。一年次始めの授業では、効率的なリサーチのコツ、どのメディアをどの場面で利用するべきか等を教える教授も多く見られます。

また、レファレンス(参照資料)についてはかなり厳しく、課題提出時にはコピーライティングが何パーセントであるか、システムを使って毎回チェックされます。どんなに小さなレポートでも、信用のおける引用先の正確な記載が求められます。


グループワークが多い

グループワーク

個人レポートが中心の日本の大学に比べ、イギリスではプレゼンテーションや合同レポート作成等のグループワークが課せられる機会が非常に多いです。人数が多い分、計画的な準備が求められること、また誰が何をするかを皆で決めなければならないことから、個人ワークよりも少しストレスに感じてしまう生徒もいるでしょう。ちなみに、採点の仕方は科目によっても異なりますが、グループごとに点数がつけられることが多く、その場合メンバー全員が同じ点数を受け取ることになります。





講義よりセミナーが多い

セミナーイメージ

日本の大学では、教授が一方的にプレゼンテーションを行う講義(レクチャー)が主ですが、イギリスではセミナー形式の授業が非常に多いです。

ここで言うセミナーとは、比較的少人数の生徒と教授が、お互いディスカッションをしながら進められるクラスの事を指し、講義で習った知識を応用することでより深く理解することを目的とされています。また、様々な生徒の話を聞く中で自分の視野も広がり、質の高い楽しみがあります。レクチャーに比べ、質問もしやすいカジュアルな環境であると言えるでしょう。セミナーでは積極的な発言、質問が求められ、留学生からすると難しさを感じる場面も多いかもしれないので、事前の予習は不可欠です。


最低限のパソコンスキルが求められる

パソコン

リサーチからレポート作成・提出まで、全てパソコンを使って行われます。クラスによっては、その授業内に簡単なプレゼンテーション等の課題を仕上げなければならないこともあり、授業への持参も欠かせません。講義のノート取りをパソコンでする生徒も珍しくなく、机上一列にパソコンの並ぶ、日本人からすると少し不思議な授業風景を見ることができます。


3.学生生活全般

とにかく課題第一!

課題第一

課題の数も一つ一つにかかる時間も日本とは比較にならないほど多いため、学期が始まってすぐに提出期限や内容が提示されます。また、全体的に学習意欲の高い生徒が多く、アルバイト中心の生活をしている生徒はあまり見受けられません。一日中図書館に籠ることも少なくなく、特に課題提出期限の重なる学期末には、図書館の席が学生で埋まります。(筆者は市内の図書館にて開館前の行列を経験しました……。)





遊びも全力!

遊びイメージ

ただし、週末は皆外に出かけ、平日に溜まった疲れを発散します。昼間はアウトドアアクティビティやイベント、夜になると、さすがイギリス、パブに行く学生が多いです。

サークルやチャリティー団体に参加する生徒も少なくなく、サークルに関しては特にスポーツ系のものが人気です。チャリティーは大学生に限らずイギリス全体でとても大切にされていて、街中どこに行ってもチャリティーショップが多く存在しています。ボランティアの一環として、そのような団体の活動に参加する学生も多く見られます。



シェアハウスまたは実家暮らしが一般的

友人イメージ

イギリス、特にロンドンなどの大都市における家賃は、日本と比較にならないくらい高いです。そのため、学生は実家から通学するか、フラット(日本でいうアパート・マンションの意)を数人でシェアすることがほとんどで、一人暮らしは稀です。入学後すぐは大学の寮に入る学生も多く、皆で飲み会などを行い交流を深めます。


4.まとめ

イギリスイメージ

「学生の仕事=勉強」の考え方が強いイギリス。イギリスの学生生活においては、勉強と遊びの切り替え、そしてそのためのタイムマネジメント能力を強く求められます。

日本とは異なる授業や課題のスタイルは慣れるまでにかなり大変かもしれません。だからこそ、この3年間は自身の自立心、自信を十分成長させてくれ、それが就職後にも生きてくるでしょう。

何より専門的な分野を3年間みっちり学ぶことができるので、将来やりたいことが明確に決まっている方、特に英語を仕事にも生かしたい方にとっては、教育レベルの高いイギリスへの留学は一つの選択肢と言えるかもしれません。